学生の頃から、神田神保町の古書店街が好きで、暇とあらば一日中でも、古書の森を彷徨っています。
ジャンルとしては職業柄、やはり画集や絵画関係の技法書などをメインに探索していますが、もちろんそれだけではなく、興味を惹かれるものには手を伸ばしてしまいますので、想像以上に時間が経過している事がほとんどです。
兎に角古い物は貴重な資料というだけではなく、忘れていた事を思い出させてくれるようなロマンがあると思います。それは古書に限らずですけれども。
そんな古書店街で発掘したものを中心に紹介します。
洋画家、岡鹿之助の著作「油絵のマティエール」です。
この本は、受験生の時に参考にしていた思い出の一冊です。
初版は1954年(昭和29年)ですが、これは1976年(昭和51年)に出版された21版です。
表紙には岡鹿之助の「献花」という作品が使われていますが、 これは1964年(昭和39年)の作品なので、どうやら版によって表紙の絵は違うみたいです。
内容は油絵の具の専門的な材料の解説から、初心者向けに油絵の道具を紹介していたり、著者がヨーロッパ留学した時の話や、当時の画学生の制作スタイルも垣間見れるし、ルソーやボナールなどの作品などを使われていた画材を通して解説していて、資料的にはもちろん、読み物としても面白いです。
岡鹿之助
1898年(明治31年)~1978年(昭和53年)