絵画材料の選びかた使いかた

 美術出版社の「絵画材料の選びかた使いかた」です。これは1962(昭和37)に出版された初版です。


 内容としてはこれから絵を始めたいと思っている初心者向けに様々な画材とその使い方を紹介する形で書かれていて、油彩から始まり水彩やデッサンなどの一般的な技法のほかに、石膏を使った作例やエンコスティックという特殊な技法まで紹介しています。


 初心者向けなので専門的な難しさはあまりないですが、油彩画の内容は特に難しくならないように解説されていて、ページ数から見ても一番充実しています。


 その油彩の執筆をしているのは高橋忠弥という人で独学で油画を始め、絵画だけでなく書や本の装幀画を制作する他にも詩やエッセイも書くマルチな作家だったようです。


 巻頭のグラビヤにはその高橋忠弥のアトリエが掲載されていたり、素描の参考作品として宮本三郎のデッサンが載っていてなかなかお得な感じがします。その他に巻末には絵画材料の定価一覧表があり、当時の画材の値段を知ることができ、資料的価値もある一冊だと思います。



高橋忠弥 

1912(明治45)2001(平成13)

伊勢正義 

1907(明治40)1985(昭和60)

宮本三郎 

1905(明治38)1974(昭和49)

山口勝弘 

1928(昭和3)2018(平成30)

みのわ淳 

1930(昭和5)2016(平成28)

伊藤隆康 

1935(昭和10)1985(昭和60